摂食障害との向き合い方。根本原因の理解を得られにくいつらさ、治療~回復への道のり

【月木コラム】摂食障害との向き合い方|仙台・山形のカウンセリングルーム ファーストメンタルケア

「食べること、カロリーを摂取することが怖い」
「食べ始めると自分の意思では止められない」
「食べた後に激しい後悔や自己嫌悪に襲われる」

このような考えや心理状態になってしまったとき、
意志の弱さや単純な食生活の乱れではなく
「摂食障害」という病気の症状かもしれません。

摂食障害になると、食事の量や食べ方に問題が現れるだけでなく、
体重や体型への強いこだわり、低い自己評価、不安や抑うつなど、心と身体の両方に影響が及びます。

本人が苦しんでいても、周囲からは「普通に食べれば?」「食べ過ぎなければいいだけじゃん」といったふうに扱われやすく、理解されにくい病気でもあります。

ルッキズムが蔓延するSNSの空気にふれやすい現代では、
特に若い世代の女性に多く見られやすいこころの病気です。

目次

摂食障害の主な種類

摂食障害には、主に次のような病気があります。

神経性やせ症(拒食症)

食事を極端に制限したり、太ることへの強い恐怖を感じたりする状態です。

体重が著しく減っていても、自分では「まだ太っている」と感じる場合があります。
過剰な運動、自己誘発性嘔吐、下剤の乱用などを伴うこともあります。

低栄養が続くと、月経不順、骨密度の低下、貧血、低血圧、脈拍の低下、臓器機能の低下などが起こり、生命に関わることもあります。

神経性過食症(過食症)

短時間に大量の食べ物を摂取し、「食べることを止められない」という感覚を伴うのが特徴です。

過食後に体重増加を防ごうとして、嘔吐、下剤の使用、
絶食、過剰な運動などを繰り返すことがあります。

体重が標準範囲内の人も多いため、周囲が気づかない場合もあります。

過食性障害

自分でコントロールできない過食を繰り返しますが、
神経性過食症のような嘔吐や下剤使用などを定期的には伴わない状態です。

過食後には、強い罪悪感や自己嫌悪、抑うつ感を抱くことがあります。

回避・制限性食物摂取症

体重や体型へのこだわりとは別の理由で、食べられる量や食品の種類が極端に制限される状態です。

食べ物の味、におい、食感への強い抵抗、食べることへの関心の乏しさ、
嘔吐や窒息への恐怖などが背景になることがあります。

摂食障害の原因

摂食障害は、「これが原因」と一つに決められる病気ではありません。
一般には、心理的・社会的・生物学的要因が複雑に重なって発症すると考えられています。

関係する可能性がある要因として、次のようなものがあります。

  • 自己評価の低さ
  • 完璧主義や失敗への強い恐れ
  • 感情を表現したり、人に頼ったりすることの難しさ
  • 対人関係、学校、仕事などでのストレス
  • ダイエットや体重減少を褒められた経験
  • やせた体型を理想とする社会的・文化的な影響
  • 不安症やうつ病など、ほかの精神的不調
  • 生まれつきの気質や遺伝的・生物学的要因

家庭環境だけを原因としたり、本人や家族の責任と考えたりするのは適切ではありません。

きっかけがダイエットだったとしても、病気が進行すると
本人の意志だけではやめられない状態になります。

摂食障害を抱える人のつらさ

摂食障害の苦しさは、「食べられない」「食べ過ぎる」という問題にとどまりません。

頭の中が食事、体重、カロリー、体型への不安で占められ、
生活の多くが病気に支配されてしまうことがあります。

例えば、次のような苦しさが生じます。

  • 食べることへの恐怖と、食べたい気持ちの間で揺れる
  • 食事のたびに罪悪感や自己嫌悪を感じる
  • 体重が少し増えただけで、強い不安や絶望を感じる
  • 人前で食べることを避け、友人や家族と距離ができる
  • 過食や嘔吐を隠すために、孤立してしまう
  • 「やめたいのにやめられない」と自分を責める
  • 集中力が低下し、学校や仕事を続けにくくなる
  • 周囲に理解されず、甘えやわがままだと思われる

本人の中でも、「治りたい」という気持ちと、
「体重が増えるのが怖い」「症状を手放したくない」という気持ちが同時に存在することがあります。

このような矛盾と葛藤は摂食障害によくみられる心理状態で、
繰り返し入院してしまうなどの状態に陥ることもあります。

摂食障害はどう治すのか

摂食障害の治療では、心と身体の両方を診ていく必要があります。
症状や重症度によって異なりますが、一般に次のような支援が組み合わされます。

1.身体状態の検査と治療

まず、体重や血圧、脈拍、血液検査などによって身体の状態を確認します。

重い低栄養、脱水、電解質異常などがある場合は、身体の安全確保が最優先です。
状態によっては入院治療が必要になります。

2.栄養療法

医師や管理栄養士などと相談しながら、身体に必要な栄養を安全に回復させます。

本人を責めたり、無理に食べさせたりすることが治療なのではありません。
身体状態を確認しながら、食事の量やリズムを段階的に整えていきます。

3.心理療法

病気について理解するための心理教育や、認知行動療法、家族療法などが行われることがあります。

食行動だけでなく、体重や体型に対する考え方、自己評価、完璧主義、
感情との付き合い方、対人関係上の問題などを扱っていきます。

4.薬物療法

摂食障害のすべてを直接治す「特効薬」があるわけではありません。

ただし、抑うつ、不安、強迫症状などを伴う場合、
一部の摂食障害では医師の判断で薬が使用されることがあります。

5.家族や周囲への支援

家族も、どう接したらよいか分からず、疲弊していることがあります。

家族に病気について正しく理解してもらい、
食事や体重をめぐる対立を減らすことも大切です。

本人だけでなく、家族が相談できる場所を持つことも回復を支えます。

回復のために大切なこと

摂食障害からの回復は、体重を戻すことや過食をやめることだけではありません。

食事に支配される時間が減り、自分の感情や身体を少しずつ受け入れ、
学校、仕事、人間関係などの生活を取り戻していく過程です。

回復の途中では、症状が再び強くなる時期もあります。
一時的な悪化を「すべて失敗した」と捉える必要はありません。
状態を振り返りながら、治療者や支援者と対応を調整していくことが大切です。

また、本人が受診をためらっている場合でも、
家族だけで医療機関や相談窓口に相談することができます。

早めの医療相談が必要なサイン

次のような状態がある場合は、カウンセリングだけで対応しようとせず
早めに精神科、心療内科、小児科、内科などの医療機関へ相談してください。

  • 急激に体重が減っている
  • 食事や水分をほとんど摂取できない
  • 立ちくらみ、失神、動悸、胸痛がある
  • 嘔吐や下剤の使用を繰り返している
  • 意識がもうろうとしている
  • 強い抑うつ状態や自傷行為がある
  • 「死にたい」「消えたい」という気持ちがある

意識障害、けいれん、強い胸痛、呼吸困難、
自殺の差し迫った危険などがある場合は、ためらわず119番へ連絡してください。

カウンセリングでできること

カウンセリングでは、食行動だけを無理に変えようとするのではなく、
その行動が必要になった背景や、本人が抱えている不安、自己否定、対人関係の苦しさなどを整理していきます。

言葉にしにくい感情を安全な場で話し、自分を責める考え方やストレスへの対処方法を見直すことは、回復を支える一つの手段になります。

ただし、摂食障害は身体的な危険を伴うことがあるため、
心理カウンセリングは医療の代わりになるものではありません。

必要に応じて医療機関と連携し、身体面の診察や治療を並行して受けることが重要です。

一人で抱え込まないで

摂食障害は、本人の甘えや意志の弱さによって起こるものではありません。
そして、本人や家族の努力だけで解決しなければならない問題でもありません。

「この程度で相談してよいのだろうか」
「まだ病気と決まったわけではない」
「うまく説明できる自信がない」
というような段階でも、相談することはできます。

食事や体重のことが頭から離れない、食べ方を自分でコントロールできない、
食べることをめぐって日常生活が苦しくなっていると感じたら、
医療機関や専門的な相談窓口につながることを検討してください。

早い段階で適切な支援につながることが、心と身体を守る第一歩になります。

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